「精液検査の結果用紙をもらったけれど、専門用語やアルファベットばかりでどこを見ればいいのか分からない…」
「運動率や濃度が基準値より低かった。もう自然妊娠は無理なのだろうか…」
検査結果の数値を見て、不安やショックを感じている男性やご夫婦は非常に多くいらっしゃいます。
まず最初にお伝えしたい最も大切な結論は、「精液検査の結果が1回悪かったからといって、決して絶望する必要はない」ということです。
精子の状態は、直前の体調、疲労、睡眠不足、禁欲日数、ストレスなどによって毎日ジェットコースターのように大きく変動します。また、数値が基準を下回っていても、適切な生活改善や治療、ステップアップによって妊娠に至るケースは無数にあります。
この記事では、世界保健機関(WHO)の最新基準値(第6版・2021年改訂)の見方から、各数値が低い場合の原因・病名、結果が悪かった時の次のアクション、そして数値を改善するための具体的な方法まで徹底解説します!
💡 この記事を読んでわかること
- WHO最新基準値(第6版)完全早見表とチェックすべき重要5項目
- 「乏精子症」「精子無力症」などの診断名と意味
- なぜ1回の結果で一喜一憂してはいけないのか?(数値変動の仕組み)
- 結果が思わしくなかった時に受けるべき「二次精密検査」
- 数値を底上げする生活習慣・抗酸化栄養素・治療法
【WHO最新版】精液検査の正常基準値(下限基準値)早見表
精液検査の結果を評価する際、世界中の医療機関で共通基準として用いられているのが世界保健機関(WHO)が定めた基準値です。
※2021年に約11年ぶりに改訂された最新の「WHO精液検査マニュアル第6版」の下限基準値(自然妊娠した男性の下位5%の境界値)を掲載しています。
| 検査項目 | WHO基準値(下限) | 項目の意味・チェックのポイント |
|---|---|---|
| ① 精液量 | 1.4 mL 以上 | 1回の射精で出る精液の体積。少なすぎる場合は逆行性射精や採取ミスを疑う。 |
| ② 精子濃度 | 1,600万 / mL 以上 | 精液1mLあたりに含まれる精子の数。最も注目される基本項目。 |
| ③ 総精子数 | 3,900万個 以上 | 1回の射精に含まれる精子の総数(精液量 × 精子濃度)。 |
| ④ 総精子運動率 | 42 % 以上 | 動いている精子の割合(その場でのみ動く精子も含む)。 |
| ⑤ 前進運動率(PR) | 30 % 以上 | まっすぐ前へ力強く泳いでいる精子の割合。自然妊娠に最も直結。 |
| ⑥ 正常形態率 | 4.0 % 以上 | 頭部・頚部・尾部に異常がない精子の割合(クルーガーテスト基準)。 |
| ⑦ 精子生存率 | 54 % 以上 | 生きている精子の割合。 |
※注意:この基準値は「これを超えていれば100%妊娠できる」という合格ラインではなく、「自然妊娠した男性群の下位5パーセンタイル(最低限クリアしたい目安値)」を示したものです。
数値が基準を下回った場合の主な病名と状態

検査項目のうち、いずれかが基準値を下回っていた場合、医師から以下のような診断名が告げられることがあります。
1. 乏精子症(ぼうせいししょう)
精子濃度が「1,600万/mL未満」、または総精子数が「3,900万個未満」の状態です。数が少ないと、卵子までたどり着ける精子の絶対数が減ってしまいます。
(※500万/mL未満は「高度乏精子症」と呼ばれ、顕微授精などの適応になります。)
2. 精子無力症(せいしむりょくしょう)
精子の前進運動率が「30%未満」、または総運動率が「42%未満」の状態です。精子が前に進めず、子宮頚管や卵管を自力で泳ぎ切ることが困難になります。
3. 奇形精子症(きけいせいししょう)
正常な形をした精子の割合が「4%未満」の状態です。頭部が2つあったり、尾部が折れ曲がっていると受精能力が低下します。(※奇形精子が受精して奇形児が生まれるわけではありませんのでご安心ください。)
4. 無精子症(むせいししょう)
遠心分離した精液を顕微鏡で隅々まで探しても、精子が1匹も見当たらない状態です(成人男性の約100人に1人)。
精子の通り道が詰まっている「閉塞性」と、精巣で精子を作る力が低下している「非閉塞性」があり、精巣から直接精子を採取する手術(TESE)等で治療が可能です。
1回の結果で落ち込まなくていい「3つの理由」
精液検査の結果が思わしくなかった場合でも、すぐに諦める必要はありません。
💡 なぜ1回だけの検査で判断してはいけないのか?
- ① 精子の状態は毎日大きく変動する: 睡眠不足、風邪、仕事のストレス、お酒の量などで数値が半分以下に落ちることは日常茶飯事です。
- ② 禁欲日数の影響を受けやすい: 禁欲期間が短すぎると濃度が下がり、長すぎると(5日以上)運動率が急低下します(理想は2〜3日)。
- ③ 採取後の温度・時間のズレ: 自宅採取から病院への運搬中に冷えたり時間がかかりすぎると、運動率が一時的に低下することがあります。
そのため、国際的なガイドラインでも「1ヶ月以上の間隔を空けて、最低2回〜3回検査を行い、その平均やベストな結果を見て総合判断する」ことが定められています。
検査結果が基準を下回った場合の「次のステップ」
複数回の検査でも数値が低かった場合、次に進むべきアクションは以下の通りです。
ステップ1:男性不妊外来(泌尿器科)で原因を調べる
まず確認すべきは、男性不妊の最大の原因である「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)」がないかどうかです。
エコー検査や触診で精索静脈瘤が見つかれば、日帰り手術で約7〜8割の男性が数値を改善できます。(※詳しくは男性不妊の原因TOP5をご参照ください。)
ステップ2:最適な不妊治療法(ステップアップ)を選択する
精子の数値(特に「総運動精子数」)に応じて、最も妊娠率の高い治療法を選択します。
| 精子の状態の目安 | 推奨される治療法 | 保険適用の有無 |
|---|---|---|
| 正常範囲〜軽度の低下 | タイミング法 | 保険適用 |
| 中等度の低下(運動精子が少なめ) | 人工授精(AIH) 濃縮した元気な精子を子宮に注入 |
保険適用 |
| 高度の低下(極端に少ない) | 体外受精(IVF) / 顕微授精(ICSI) 1匹の精子を卵子に直接注入 |
保険適用 |
精子の数値を底上げするセルフケア
精子は約74日サイクルで新しく作られます。今からの生活改善が、約2〜3ヶ月後の精液検査の結果となって現れます。
- 抗酸化サプリを飲む: 亜鉛、還元型コエンザイムQ10、ビタミンC・E、L-カルニチンを継続摂取する。(※男性サプリ比較はこちら)
- 精巣を冷やす(温めない): サウナ、長風呂、膝上ノートPC作業、締め付けの強い下着を避ける。
- 射精間隔を詰める: 禁欲期間は2〜3日に留め、こまめに射精して精子を新鮮に保つ。
- 禁煙・節酒: 喫煙は精子のDNA損傷率を劇的に高めるため、完全禁煙が強く推奨されます。
精液検査に関するよくある質問(FAQ)
Q. 自宅で採取して病院に持参する場合の注意点は?
A. 採取後「2時間以内」に持参するのが原則です。また、人肌(20〜30度)に近い温度を保つため、タオルに包んでポケットやバッグの内側に入れて運びましょう。冷やしすぎたり熱くしすぎたりするのは厳禁です。
Q. 市販の自宅用精子測定キット(スマホ顕微鏡など)の精度はどうですか?
A. 精子の有無や大まかな動きを見るスクリーニングとしては非常に有用で、受診のきっかけ作りに適しています。ただし、正確な濃度や形態率、DNA損傷までは測れないため、最終的な判断は必ず医療機関の検査で行ってください。
Q. 精液検査の費用はどれくらいかかりますか?
A. 不妊治療の保険適用により、夫婦で不妊治療を開始している場合は自己負担3割で約1,000円〜2,000円前後で受けられます。単独の自費検査でも3,000円〜5,000円程度が一般的です。(※詳しくは男性不妊検査の費用をご覧ください。)
まとめ:結果を恐れず、現在地を知ることが妊娠への第一歩
精液検査を受けることは、男性にとって勇気がいることかもしれません。しかし、検査結果は「今の身体のコンディションを教えてくれる貴重なデータ」に過ぎません。
数値が良いなら自信を持ってタイミング法を進められますし、もし課題が見つかっても、生活改善や適切な医療サポート(人工授精・顕微授精など)によって妊娠できる道が明確になります。
結果に一喜一憂しすぎず、ご夫婦で手を取り合って前向きに妊活を進めていきましょう!

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